看護師の働き方は、2交代制や3交代制など病院によってさまざまです。月の休日数や夜勤回数も異なります。今回は看護師の労働時間・働き方について紹介します。
看護師の勤務形態とは
日本の看護師の平均労働時間は1日あたり約8～12時間程度とされています。ただし、通常の会社とは勤務の仕方が変わっていることが多いため、注意しましょう。
看護師の勤務形態の種類
多くの病院では、3交代勤務と2交代勤務が行われています。3交代勤務では、日勤帯・準夜勤帯・深夜勤帯の8時間ごとに看護師が入れ替わります。2交代勤務では、日勤帯・夜勤帯で看護師が入れ替わります。
日本看護協会が2019年に行った「病院及び有床診療所における看護実態調査」（非管理職スタッフ6,591人が回答）によると、次のような割合で看護師さんは働いています。3交代勤務15.7%、夜勤16時間以上の2交代勤務43.1%、夜勤専従1.5%、その他（宿日直制、オンコール等）8.1%、夜勤をしていない21.4%、無回答0.2%という結果でした。看護の仕事を続けていく上で、夜勤勤務とどう向き合うかは重要な要素になるでしょう。
スケジュール例
日勤勤務の場合
日勤勤務では、治療や検査、医師の診察（回診）、理学療法士等によるリハビリテーション、管理栄養士による栄養指導、薬剤師による服薬指導、看護師による清潔ケア（入浴介助・清拭・洗髪・足浴・口膣ケアなど）や生活指導など多くのことが行われます。
- 7:30 am: 勤務開始、引き継ぎや準備業務
- 8:00 am – 12:00 pm: 患者さんのモニタリング、看護ケア、医師との連携、薬剤管理など
- 12:00 pm – 1:00 pm: 休憩時間
- 1:00 pm – 4:30 pm: 診療補助、処置、検査の準備、患者さんとのコミュニケーション、診療記録の管理など
- 4:30 pm: 勤務終了、引き継ぎ、書類作成、勤務報告など
夜勤勤務の場合
夜勤勤務では、看護師は患者さんが安全に安心して睡眠できるように、排泄を促し、歯磨きなどの口膣ケアを行います。また、患者さんの痛みを緩和したり、不眠のため医師から睡眠剤が処方されている人には投与を行ったりします。
- 6:00 pm: 勤務開始、患者さんのモニタリング、診療補助、急変時の対応など
- 9:00 pm – 10:00 pm: 休憩時間
- 10:00 pm – 3:00 am: 夜間の看護ケア、緊急処置、患者さんへのサポートや教育など
- 3:00 am – 4:00 am: 休憩時間
- 4:00 am – 7:30 am: 勤務終盤、引き継ぎ、記録の整理、朝の準備など
- 7:30 am: 勤務終了、報告書の作成、帰宅準備など
労働時間は、病院やクリニック、介護施設、訪問看護などで、労働時間や働き方も異なります。長期的な労働や将来のキャリアを考える際には、自身のライフスタイルや働き方に合った職場環境を選ぶことが大切です。
夜勤の勤務時間はどれくらい？
気になる看護師の夜勤には勤務パターンにいくつかの種類があり、分かりにくい原因となっています。3交代制と2交代制のそれぞれの場合で記載してみます。
3交代制の場合
3交代勤務では、「日勤・準夜勤・深夜勤」の3つの時間帯による交代勤務が一般的です。一般的な勤務時間帯の例としては、日勤が8:00～16:45、準夜勤が16:00～24:45、深夜勤が24:00～8:45のように時間の割り振りをしている病院が多いです。
2交代制の場合
もう1つの代表的な勤務パターンが2交代制です。こちらは日勤と夜勤の2つに勤務時間を分けることになりますが、その時間帯は病院によって異なります。
たとえば日勤が8:00～20:30、夜勤が20:00～8:30のように12時間ずつで交代している例が多いです。また、最近は日勤8時間、夜勤16時間を基準にした、日勤8:00～17:00、夜勤16:00～9:00のような時間の割り振りが増えてきました。
夜勤時の休憩時間
夜勤も日勤と同じく、休憩時間を与えることが労働基準法上の雇用主の義務となっています。実働6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は60分です。なお、休憩時間は「労働者が業務を離れて自由にできるもの」と定義づけられており、管理者からの指示による待機や電話番としての待機などは、手待ち時間として取り扱われ、法律上そのような働き方は違反となります。
夜勤手当で収入がアップする
夜勤で得られる最大のメリットは夜勤手当がもらえるという点です。日本看護協会の「2020年病院看護実態調査報告書」によると、看護師が平日に行う夜勤に支払われる1回当たりの平均手当額は次の通りです。
- 2交代制（夜勤）：11,286円
- 3交代制（準夜勤）：4,154円
- 3交代制（深夜勤）：5,122円
平均的な看護師の夜勤回数で計算すると、夜勤をすることで1ヶ月の収入が3～5万円程度アップする計算になります。
【勤務形態別】看護師の勤務時間はどのくらい？
看護師の勤務時間は、勤務形態やシフトに応じて大きく異なります。日勤のみの職場から、夜勤を含む交替制勤務まで幅広い選択肢があるため、自分に合った働き方を見つけることが重要です。以下では、代表的な勤務形態別に看護師の勤務時間について詳しく解説します。
日勤のみの勤務時間は約8時間
日勤のみの勤務は、主にクリニックや外来で採用されるケースが多いです。通常、朝8時または9時に勤務が開始し、17時または18時に終了します。休日が固定されている場合が多く、生活リズムを整えやすいのが特徴です。
2交替制の場合：日勤8時間、夜勤16時間前後
2交替制は、日勤と夜勤が完全に分かれている勤務形態です。日勤は約8時間、夜勤は16時間程度が一般的です。夜勤では患者さんの少ない時間帯に集中して業務を行うことも多く、体力的な負担がかかるため、休憩や仮眠時間の確保が重要です。
3交替制の場合：原則8時間
3交替制では、早番・日勤・夜勤に分かれており、それぞれの勤務時間は約8時間です。シフトの回転が速い分、1回あたりの勤務時間が短いため、体への負担が軽減される一方で、出勤回数が増えるのがデメリットです。
変則交替制の勤務時間は10時間～12時間前後
変則交替制は、特定の職場や部署で採用されることが多く、10時間～12時間前後の勤務時間となります。この形態では、勤務後の休みが長く取れるケースが多いため、まとまった時間を確保したい看護師に適しています。
早番・遅番の勤務時間は約8時間
早番や遅番は、外来やクリニック、訪問看護などの職場で採用されることが多いです。早番は通常朝7時頃から開始し、午後3時頃に終了します。遅番は午後から勤務が始まり、夜まで勤務が続きます。
職場・施設別の勤務形態の特徴
勤務時間は、職場や施設の種類によっても大きく異なります。それぞれの特徴を理解することで、自分に適した職場を見つけやすくなります。
総合病院
病棟
病棟勤務では、2交替制または3交替制が採用されることが多いです。夜勤が含まれるため、体力が求められる一方で、患者さんと長期的に関わることができます。
外来
外来勤務は、日勤のみのケースが多く、休日が固定されていることが特徴です。緊急対応が必要な場合もありますが、比較的生活リズムを保ちやすい職場といえます。
オペ室
オペ室勤務は、手術のスケジュールに合わせた変則勤務が中心です。緊急手術が発生する場合もあり、柔軟な働き方が求められます。
クリニック
クリニックでは、日勤のみの勤務が一般的です。特に、診療時間が夕方までの場合は、家庭との両立がしやすい環境が整っています。
訪問看護ステーション
訪問看護では、訪問スケジュールに応じた柔軟な勤務が特徴です。夜勤がないことが多い一方で、移動時間が多くなる点を考慮する必要があります。
企業
企業内看護師は、勤務時間が比較的一定である場合が多く、日勤のみが主流です。休日も規則的で、ワークライフバランスを重視する看護師に人気があります。
看護師の勤務時間に関する現状
病院では約6割の職場が2交替制を導入している
最新の調査によると、病院勤務の約6割が2交替制を採用しています。これは、夜勤の回数を減らし、勤務時間を長くすることで負担を軽減する意図があります。
夜勤もある職場は変形労働時間制が導入されている場合もある
夜勤を含む職場では、変形労働時間制が採用されることがあります。これにより、週単位や月単位での勤務時間の調整が可能になり、看護師の負担軽減が図られています。
差はあるものの大半の職場では残業がある
残業は、ほとんどの職場で発生する傾向がありますが、その程度は職場によって異なります。事前に残業の有無や平均時間を確認することが重要です。
72時間ルールによって夜勤負担を減らす動きもある
厚生労働省が推奨する「72時間ルール」によって、夜勤の連続勤務時間や回数が制限される動きがあります。このルールにより、看護師の健康管理が重視されています。
看護師が転職時の求人で勤務時間を見る際にチェックすべき点
勤務パターンや残業時間
求人情報では、勤務パターンや残業時間の記載を確認することが大切です。残業が多い職場では、生活リズムに影響を及ぼす可能性があります。
休憩・仮眠時間
特に夜勤がある場合、休憩や仮眠時間がしっかり確保されているかを確認しましょう。これが、体力を維持するためのポイントとなります。
夜勤時の看護師の人員配置
夜勤の際に看護師が何人配置されるのかを把握することも重要です。配置が少ないと負担が大きくなる可能性があります。
勤務時間・業務量に対する給与のバランス
給与と勤務時間・業務量のバランスが取れているかを確認することが、転職後の満足度を左右します。
看護師の準夜勤とは？勤務時間と深夜勤との違い
準夜勤の勤務時間（16:00～24:30）とスケジュール例
看護師の準夜勤は、一般的に16:00～24:30の時間帯で勤務するシフトです。日勤と深夜勤の間に位置し、患者さんの夕食介助や就寝準備、夜間の急変対応などを担当します。具体的なスケジュール例は以下の通りです。
準夜勤のスケジュール例
- 16:00：出勤、情報収集、申し送り
- 17:00：患者さんの夕食介助、服薬管理
- 19:00：ナースコール対応、処置、記録業務
- 21:00：巡回、消灯対応、必要なケア
- 23:30：申し送り、記録整理
- 24:30：退勤
深夜勤との違い（労働時間帯・負担の差）
準夜勤と深夜勤は勤務時間帯が異なり、それに伴い業務負担も変わります。
| 項目 | 準夜勤 | 深夜勤 |
|---|---|---|
| 勤務時間 | 16:00～24:30 | 0:00～9:00 |
| 業務内容 | 夕食介助、ナースコール対応、消灯前ケア | 夜間巡回、急変対応、早朝ケア |
| 体力負担 | やや軽い | 重い |
準夜勤は深夜の長時間勤務よりも体力的な負担が少ない一方で、帰宅時間が遅くなるため生活リズムの調整が求められます。
2交代制と3交代制での準夜勤の位置づけ
準夜勤の位置づけは、勤務形態によって異なります。
- 2交代制：日勤と夜勤の2つに分かれ、準夜勤はないことが多い。
- 3交代制：日勤・準夜勤・深夜勤に分かれ、準夜勤は日勤と深夜勤の間に位置する。
3交代制の場合、準夜勤があることで1回の勤務時間は短くなりますが、勤務間隔が短くなるデメリットもあります。
看護師の準夜勤のメリット・デメリット
準夜勤のメリット
夜勤手当がつく
準夜勤には夜勤手当が支給されるため、日勤のみの勤務よりも給与が高くなります。病院によって手当の金額は異なりますが、1回あたり3,000円～5,000円程度が相場です。
2交代制の夜勤より勤務時間が短い
2交代制の夜勤（16時間勤務）と比較すると、準夜勤は約8時間と短いため、体力的な負担が少なくなります。
昼夜逆転が起きにくい
深夜勤と異なり、翌日の昼間に起きて活動できるため、生活リズムが極端に崩れにくいのがメリットです。
準夜勤のデメリット
勤務間隔が短くなることもある
3交代制の場合、準夜勤の翌日が深夜勤になることもあり、十分な休息が取れない場合があります。
帰宅時にバスや電車が使えない
24:30に退勤すると、公共交通機関が運行していないことが多く、タクシーや自家用車での帰宅が必要になる場合があります。
準夜勤の勤務スケジュールと過ごし方のコツ
準夜勤前の過ごし方（仮眠・食事のポイント）
- 仮眠：勤務前に30分～1時間の仮眠を取ることで、集中力を維持しやすくなります。
- 食事：高タンパク質・低脂肪の食事を摂ると、夜間の疲労感を軽減できます。
準夜勤後の生活リズム調整法
- 帰宅後はすぐに就寝：明け方まで起きていると生活リズムが崩れるため、できるだけ早く就寝しましょう。
- 翌日の予定を調整：準夜勤明けは軽めのスケジュールにすることで、疲労を軽減できます。
準夜勤が向いている人の特徴
自己管理能力が高い人
睡眠や食事の管理を適切に行える人は、準夜勤でも健康的に働きやすいです。
夜間の業務に集中できる人
準夜勤ではナースコール対応や急変時の対応が求められるため、夜間でも冷静に業務をこなせる人が向いています。
柔軟な働き方を求める人
日勤だけでなく夜間も働くことで、給与アップやワークライフバランスの調整がしやすくなります。
準夜勤を含む勤務形態を選ぶ際のチェックポイント
勤務時間・回数の確認
準夜勤の頻度や勤務時間を事前に確認し、無理なく働けるか検討しましょう。
手当や給与のバランスを考慮する
夜勤手当の有無や金額、基本給とのバランスを比較して、適正な収入が得られるかチェックすることが重要です。
生活リズムへの影響を考える
自分の体調管理やライフスタイルに合った勤務形態を選ぶことで、長く安定して働くことができます。
夜勤はきつい？メリットは？
夜勤のメリット
夜勤では、日勤よりも高い給与を得られることが多い点が大きなメリットです。また、患者さんが少ない時間帯に集中して仕事を進められるのも利点です。
夜勤のデメリット
夜勤では、睡眠不足や体調不良が起こりやすい点がデメリットです。特に、連続した夜勤勤務がある場合は注意が必要です。
夜勤がきついと感じる理由とその対策
夜勤がきついと感じる理由として、生活リズムの乱れや長時間勤務があります。対策としては、仮眠時間を確保し、勤務後にしっかり休むことが挙げられます。
職場をえらぶ際の注意点（特に夜勤の求人について）
実際の勤務時間
求人を探す際の、夜勤の働き方について、チェックポイントを解説します。
希望する病院が日勤のみなのか、2交替制か3交替制なのか、どのような働き方をするのかは、必ず確認しましょう。この記事でご紹介した働き方はあくまで一例で、細かいタイムスケジュールは病院ごとに異なります。開始時間や終了時間は必ず把握しておくようにしましょう。
夜勤シフトの回数
2交替制や3交替制などの交替勤務になる場合は、1ヵ月あたりどのくらいの夜勤があるか、確認しておくことが大切です。交替制勤務での夜勤の回数は、周りの職員の希望によって夜勤回数は変化するため、思っていたより夜勤が少なかった・多かった、というミスマッチがあるかもしれません。
夜勤手当
夜勤手当は、労働基準法でも支払いが義務付けられているものです。また、夜勤に多く入っている職員には基準に加えてプラスで手当が支給されるところもあります。 こうしたメリットがある施設について、事前に情報収集しておくと収入アップにつながるでしょう。このあたりのやや込みいった情報は、エージェントを通じて確認するとスムーズです。
【参考記事】看護師の転職サイト活用方法 | 転職を考え始めたらまずやるべきこと、おすすめサイト
まとめ
看護師の勤務時間を理解し、適切な職場選びを
看護師の勤務時間は、勤務形態や職場によって大きく異なります。自身のライフスタイルやキャリアプランに合った職場を選ぶことで、無理のない働き方を実現しましょう。
患者さんの安全性と看護師の生活の質を両立させるために、柔軟性とバランスを大切にし、適切な労働時間の設定や十分な休息時間の確保、メンタルヘルスケアのサポート体制の整備などが求められる仕事です。
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