「看護師の年収はどれくらい?」「年収アップを目指すにはどうすればいい?」このような考えを持っている人は多いのではないでしょうか?
看護師は年収が高いイメージをもっている人も多いと思います。実際に、看護師は他の職種と比べると比較的高い年収を得られる職種ではあります。しかし、実際は、夜勤や残業手当によって高くなっている面も大きいです。
この記事では、1年目の看護師の年収について、詳しく解説していきます。
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新卒看護師の初任給は26〜27万円が平均
日本看護協会が2021年4月に公開した「2020年病院看護実態調査」によると新卒看護師の初任給は平均26〜27万円となっています。専門と大学卒の初任給を比べると大学卒のほうが8千円〜1万円高いようです。
新卒看護師の手取り額は20〜22万円が平均
平均26〜27万円という数字は所得税や社会保険料が引かれる前の金額になるため、実際の手取り額は20〜22万円ほどとなります。
新卒看護師なりたての4月や夜勤開始前の給料は低い
また、この調査結果は夜勤手当が含まれています。新人看護師は4月は研修などで日勤だけの勤務となるので注意しましょう。業務に慣れるまでは日勤だけの勤務のため、日勤だけの場合は額面上21〜23万円、手取りは17〜18万円ほどを想定しておきましょう。
いつから夜勤が始まるかは施設や病棟にもよりますが、一般病棟では3ヶ月ほどしたら夜勤に入ります。夜勤手当は6千円から高いところでは1万円と施設により異なります。夜勤回数の平均は交代で4.7回で平均手当は53,044円となり、夜勤が始まれば給料が約5万円増えることになります。
夜勤以外の手当てには、残業代や危険手当、通勤手当、住宅手当、ボーナスがあります。放射線科業務や精神科では危険手当がつきます。
6月までに夜勤がスタートする人が約半数
新卒看護師が夜勤を始める時期は病院や施設によって異なります。ほとんどの病院では、入職後半年以内に夜勤研修がスタートするようです。中には1年間しっかり日勤で経験を積んでからという方針の病院もあります。気になる方は事前に確認しておくと良いでしょう。
給料の高い病院ってどんなところ?
上記では初任給の平均金額について記載しましたが、実際には病院の規模別/設置主体別/地域別で傾向があります。
規模の大きい病院は給料が高い
500床以上の施設が最も高く、99床以下の施設が最も低い結果となっており、1万円程度の差があります。(出典:2023年 病院看護・助産実態調査 報告書)規模が大きいほど初任給が高い傾向があるといえるでしょう。
病床数が多い大規模病院は、救急医療や高度急性期医療を担っていることが多いため、負担やスキルが求められる分、高い傾向があるとも言えます。
私立学校法人は給料が高い
設置主体別で初任給を比べると、大学の附属病院などの私立学校法人が経営している病院がもっとも高く、平均より1万円程度高い結果となっています。
都市部など地域によっても給料に差がある
地域別で初任給を比較すると、専門卒・大学卒どちらも最も高いのは千葉県で、最も低いのは宮崎県となっており、その差は5万円以上ありました。(出典:2023年 病院看護・助産実態調査 報告書)都市部とその周辺地域は初任給が平均よりも高い傾向にあり、地方になるほど低くなる傾向があります。ただし、都市部は家賃など物価も高いため、それほど気にする必要はないかもしれません。
1年目の看護師の待遇について
新卒で看護師になった際に、一般的に言われる待遇面でのポジティブな面とネガティブな面を記載します。
1年目の看護師の待遇面で良いところ
- 安定した雇用: 医療現場において看護師は必要不可欠な存在であり、需要が安定しているため、比較的安定した雇用が期待できます。研修制度やキャリアアップのサポート、教育研修の機会なども充実していることが多いです。研修の内容は、医療安全・接遇マナー・倫理・看護基礎学・解剖生理・実技研修など様々な内容を受けることができます。5月の半ばごろになれば研修が終わり、配属された病棟での業務が始まります。しばらくは、「シャドーイング」と言って先輩看護師の後をついて回り業務の流れを覚えるという業務を行います。
- 社会保障の充実: 医療機関での就業に伴い、社会保険や労災保険などの福利厚生が充実しており、安心して働くことができます。具体的には、以下のような制度が充実しているケースが多いです。
- 社会保険の充実: 新卒看護師は労働基準法に基づく社会保険に加入しており、健康保険、厚生年金、雇用保険などが適用されます。これにより、病気や怪我に対する医療費や失業時の給付、年金などのリスクに対する安全ネットが確保されています。
- 労災保険の適用: 看護師は医療現場で働くため、職場での怪我や疾病のリスクが高いです。労災保険は職業上の災害や疾病による障害に対する補償や治療費の給付などを行うため、安心して勤務することができます。
- 健康診断の実施: 看護師は定期的に健康診断を受けることが求められており、職業上の健康管理が十分に行われています。これにより、早期の健康問題の発見や予防医療への参加が可能となっています。
- 労働組合の活動: 労働組合は看護師の権利や福利厚生の向上を目指して活動しており、労働環境の改善や労働条件の見直しなどに取り組んでいます。労働組合の支援により、看護師の権利や福祉が保護されることが期待されます。
- 夜勤手当や休日手当の支給: 現場によって異なりますが、夜勤や休日に勤務した場合には追加手当が支給されることがあり、収入を増やすことができます。夜勤手当は、通常の勤務時間外に夜間に勤務する看護師に支払われる手当です。看護師の多くは交代制勤務であり、24時間体制で患者様のケアを行うため、夜間の勤務が必要になる場合があります。夜勤手当は労働基準法に基づき、通常の労働時間外手当よりも高い割増率が適用されることがあります。休日手当は、週休2日制などの法定休日に勤務する場合や、祝日などの休日に勤務する場合に支給されます。これも労働基準法に基づいて、通常の労働時間外手当よりも高い割増率が適用されることがあります。
1年目の看護師の待遇面で良くないところ
- 給与の相対的低さ: 他の専門職や企業に比べて、新卒看護師の給与は相対的に低い場合があります。新卒看護師の平均月給は約20万円から25万円程度とされています。しかし、地方都市や田舎の地域では、この金額はさらに低くなることがあります。夜勤手当や休日手当などの追加手当が支給されることもありますが、これらは勤務条件によって異なるため、給与に与える影響も異なります。これらの給与は、他の医療関連職種や一般企業の新卒給与と比較すると相対的に低い傾向があります。同じく大学卒業後の新卒給与としては一般企業の平均が25万円以上であることが多いです。さらに、IT業界や金融業界などの特定の専門職種では、新卒給与が30万円以上であることも珍しくありません。
- 勤務条件の厳しさ: 看護師の勤務は24時間体制であり、夜勤や交代勤務が求められることが多いため、身体的・精神的負担が大きい場合があります。また、看護師の仕事は体力的にも精神的にも負担が大きく、患者様の体調変化に素早く対応する必要があります。また、患者様の身の回りの世話や移動など、体力を要する業務が多く含まれています。重症患者様のケアや緊急時の対応など、常に高い緊張感の中で業務を遂行する必要があります。そのため、精神的なストレスが蓄積しやすく、メンタルヘルスの管理が重要となります。
- 職場環境の違い: 医療機関によって職場環境が異なるため、良い職場と悪い職場の差が大きく、働きやすい環境とそうでない環境が存在します。
看護師1年目の年収はどのくらい?
看護師1年目の年収は、就職先や勤務形態によって異なりますが、全国平均でおおよそ360万円程度と言われています。看護師は夜勤手当や資格手当など、基本給以外にもさまざまな手当がつくため、同年代の他職種と比較しても比較的高水準の収入を得られる傾向があります。
年収はボーナスを含めると約360万円が平均
看護師1年目の月給は手取りで20万円前後が一般的ですが、ボーナス(賞与)が年に2回支給されるため、年収に換算すると360万円前後になるケースが多いです。病院規模や地域差はありますが、平均的なモデルケースとして覚えておくと良いでしょう。
月給だけではなく年収ベースで考えることが大切
1年目の看護師は、月給の額面ばかりに目が行きがちですが、年収ベースで考えることが重要です。ボーナスや各種手当を含めると、最終的な年収額に大きな差が出ることも少なくありません。長期的に収入を安定させるためにも、月給だけでなく、年収ベースでの収入を把握することがポイントです。
看護師1年目のボーナス事情
看護師1年目でもボーナス(賞与)は支給されます。ただし、満額支給ではなく、勤務期間に応じた割合で計算される場合が多いため、思ったほどの額にならないこともあります。
1年目でもボーナスは支給される
1年目でも夏・冬にボーナスが支給される病院がほとんどです。特に公立病院や大規模病院では、安定してボーナスが支給されるケースが多いです。
支給額は病院や勤務形態によって異なる
ボーナスの支給額は病院や勤務形態によって異なります。例えば、地方公務員扱いとなる公立病院の場合、民間病院より安定して高額なボーナスを得られることが多いです。一方、クリニックなどではボーナスが少ない場合もあるため、就職時に確認しておきましょう。
新卒看護師と「住民税」の関係に注意!
看護師1年目は、住民税が給与から引かれません。そのため、手取り額が高く感じますが、2年目以降になると住民税の負担が加わり、手取り額が減少します。
1年目は住民税が引かれないため給料が高く感じる
住民税は前年の所得に基づいて課税されるため、新卒1年目はまだ所得がない状態です。そのため、給与から住民税が引かれず、手取り額が高く感じます。
2年目以降は住民税の負担で手取り額が減少する
2年目からは住民税が毎月引かれるため、「思ったより手取りが減った」と感じる看護師も多いです。このギャップに備えて、1年目から計画的に貯金をすることをおすすめします。
大卒と専門卒で看護師1年目の給料に差はある?
看護師1年目でも、大卒と専門卒では給料に若干の差があります。しかし、夜勤手当や資格手当などで埋められるケースも多いため、そこまで大きな違いにはならないこともあります。
大卒看護師の初任給はやや高め
大卒看護師の場合、基本給が専門卒より数千円〜1万円程度高く設定されているケースが一般的です。これは、学歴による給与体系が反映されているためです。
専門卒でも夜勤や手当次第で差は縮まる
専門卒看護師でも、夜勤回数が多い場合や各種手当が手厚い職場であれば、大卒看護師との年収差はあまり感じなくなるケースも少なくありません。
看護師1年目から始めたいお金の管理法
1年目からしっかりとお金を管理しておくことで、将来に向けた貯蓄や投資の準備がスムーズになります。
生活費と貯金を分けて管理する
給与口座とは別に貯金専用口座を作り、毎月一定額を貯金に回す習慣をつけることが大切です。生活費と貯金を分けることで無駄遣いを防ぎやすくなります。
家計簿アプリなどで支出を「見える化」する
最近は無料で使える家計簿アプリも多く、スマートフォンで簡単に収支を管理できます。支出を「見える化」することで、無駄な出費に気付きやすくなり、節約意識も高まります。
iDeCoやNISAで将来に備えた貯蓄を検討する
将来に備え、iDeCoやNISAといった税制優遇制度を活用した資産形成を早めに始めるのもおすすめです。少額から積み立てられるため、1年目から無理なく始められます。
看護師の給料は経験年数でどう変わる?
看護師は経験年数に応じて給与がアップする職業です。長く働くほど安定した収入が見込めるため、キャリアプランを意識しながら勤務することが大切です。
3年目、5年目、10年目…キャリアに応じて昇給
看護師の給与は、3年目、5年目、10年目と節目ごとに昇給するケースが一般的です。また、主任や看護師長といった役職に就くことで、給与がさらにアップする可能性もあります。
昇給幅は病院の規模や地域によっても差がある
昇給幅は病院の規模や地域によっても異なります。大規模病院や公立病院では昇給制度が整っている場合が多く、安定した給与アップが期待できます。一方、個人病院やクリニックでは昇給額が少ないこともあるため、キャリアアップを見据えた職場選びが重要です。
まとめ
最近では看護師不足の影響もあり、待遇面の改善が進んでいます。しかし、まだまだ課題は残されており、看護師の待遇改善と働きやすい環境整備が求められています。これらは、職場によっても大きくことなりますので、就職サイト・転職サイトや転職エージェントからしっかりと情報収集を行なって、納得のいく就職活動・転職活動を行なってください!
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