看護師としてのキャリアを持ちながら、セラピストとしてのスキルを身につけることは、将来のキャリア展望を広げる魅力的な選択肢です。本記事では、看護師資格を有する方々に向けて、セラピストとしての活動がもたらす様々なメリットについて解説し、さらに看護師におすすめのセラピスト資格についても紹介します。
アロマセラピーとは
アロマセラピーは、精油を使用した自然療法の一種であり、香りを通じて身体や心の健康を促進する目的で行われます。アロマセラピストは、植物由来のエッセンシャルオイルを用いてリラクゼーションやストレス解消などの目的で施術を行います。その効果は科学的にも支持され、多くの人々に利用されています。最近では、サロンだけでなく医療現場でも求められているため、看護師資格を持つセラピストが重宝されることも多いです。
看護師がセラピストを目指す理由
看護師としての経験を活かしながら、より専門的なケアやリラクゼーションを提供したいと考える方が増えています。医療現場で培った知識や技術を活かし、患者さんの心身の健康をサポートできるのがセラピストという仕事です。特に、ストレス社会といわれる現代において、癒しのプロとしての需要が高まっています。
セラピストとしての看護師の強み
看護師がセラピストを目指す際、大きな強みとなるのは「医療知識」と「コミュニケーション能力」です。解剖学や生理学の知識を活かして、的確な施術ができる点は、一般的なセラピストとの差別化につながります。また、患者さんとの信頼関係を築くスキルは、リピーターを獲得する上で大きな武器になります。
医療現場での経験を活かせるポイント
医療現場で培った経験は、セラピストとしての仕事にも大いに役立ちます。
- 痛みのメカニズムを理解できる:施術の際に、どの部位にどのようなアプローチをすればよいか判断できる。
- 患者さんの状態を的確に把握できる:既往歴や疾患のある方への適切な対応が可能。
- 心理的なケアができる:リラクゼーションを通じて、心のケアまで提供できる。
セラピストが看護師資格をもつ4つのメリット
医療知識がセラピーの理解を助ける
看護師としての経験や医療知識は、セラピストとしての活動において大きなアドバンテージとなります。医療的な背景を持つことで、クライアントの健康状態を正確に把握し、安全な施術を提供することが可能です。また、医学的な知識を活かしたアロマセラピーの効果的な使用法や適切な施術プランの立案が可能となります。
病院での経験を活かした施術ができる
看護師としての経験をセラピストの仕事に活かすことは容易です。病院での勤務経験を通じて、患者さんとのコミュニケーションや臨機応変な対応、医療器具の取り扱いなど、さまざまなスキルを習得しています。これらのスキルは、セラピストとしての業務においても活かすことができ、患者さんに安心感を与えることができます。
患者さんから信頼を得られる
看護師資格を持つセラピストは、その医療的なバックグラウンドから、患者さんからの信頼を得やすい傾向があります。健康や安全に関する知識を有していることが分かれば、患者さんは安心して施術を受けることができます。信頼関係が築ければ、リピート率の向上や口コミによる新規顧客の獲得につながります。
自分のサロンを開業することができる
活躍しているセラピストの中には、自分でサロンを開業している人もいます。自分のサロンを開けば、よりフレキシブルに働くことができるだけでなく、リピーター患者さんが付けば収入の大幅な増加も期待できます。将来独立することを視野に入れている方にとって、看護師資格を持っていると自信にもなりますし、資格があることを強みにもできます。
看護師におすすめのセラピスト資格
メディカルアロマセラピスト
医療的な観点からアロマセラピーを提供するための資格。臨床経験を持つ看護師にとって、患者さんの健康管理に役立つ技術を習得できます。
例として、メディカルアロマ検定は、消化器系、呼吸器系、整形外科系、婦人科系の不調に使われる精油20種や症状別のブレンドなどの応用知識を測る検定です。また、メディカルアロマインストラクター資格は、症状に合わせた精油の調合や健康アドバイスに加えて、メディカルアロマ教育の専門家として、アロマの幅広い利用方法を一般の方に説明できる技術を証明する資格です。
医療リンパドレナージセラピスト
リンパ浮腫やむくみの問題を解消するための専門知識を身につけることができる資格。看護師ならではの視点で、患者さんの健康をサポートすることが可能です。
日本アロマセラピー学会認定臨床看護師
アロマセラピーにおける臨床的なアプローチを学び、看護師としての知識と経験を活かした施術を提供することができる資格。学会認定看護師の資格を取れば、医者からの指示に基づきアロマセラピーの施術を治療と並行して行なうことができるようになります。
リンパ浮腫セラピスト
リンパ浮腫やむくみの治療やケアに特化した資格。リンパ浮腫で困っている患者さんの数に対して、適切な対応ができるセラピストは圧倒的に不足していると言われています。セラピストとして認定されるためには、33時間の座学研修と67時間の実技研修を受講し、それぞれの試験に合格する必要があります。
【参考記事】看護師資格を活かせる!病院以外で働く方法
看護師がなれるセラピストの種類
看護師が目指せるセラピストには、医療系と美容・リラクゼーション系の大きく分けて2つの種類があります。
医療系セラピストとは?
医療系セラピストは、医療の知識を活かして、治療やリハビリに関わる施術を行います。
柔道整復師
柔道整復師は、骨折や脱臼、打撲などのケガの処置を行う国家資格です。看護師としての経験があれば、患者さんの身体状態を把握しやすく、リハビリの指導にも役立ちます。
あん摩マッサージ指圧師
血流の促進や筋肉の緊張を和らげる施術を行う国家資格です。医療保険の適用が可能な施術もあり、高齢者やリハビリ患者さんへのサポートに活かせます。
整体師
整体師は、骨格や筋肉のバランスを整える施術を行います。資格取得のための専門学校も多数あり、医療現場での経験を生かしながら学べます。
美容・リラクゼーション系セラピストとは?
美容や癒しを目的としたセラピストは、女性を中心に人気があります。
エステティシャン
フェイシャルやボディケアを通じて、美容をサポートする職種です。医療機関と提携したメディカルエステなどもあり、看護師の知識が役立つ場面もあります。
リフレクソロジスト
足裏のツボを刺激して、全身の健康を促進する療法です。高齢者施設や訪問ケアの場でも活躍の場が広がっています。
アロマセラピスト
精油を使った施術で、リラクゼーションやストレスケアを行います。看護師の知識を活かし、患者さんの体調や疾患に応じた適切なケアが提供できます。
看護師がセラピストの資格を取得する際の注意点
仕事と資格取得の両立は可能か?
看護師として働きながらセラピストの資格を取得することは可能ですが、計画的な学習スケジュールの立案が重要です。特にフルタイム勤務の看護師は、学習時間を確保するのが難しくなるため、通信講座や夜間・週末に学べるスクールを活用するのが有効です。
また、職場の理解を得ることも大切です。セラピスト資格の取得を目指す理由を上司や同僚に伝え、シフト調整の相談をしておくと、学習時間の確保がしやすくなります。さらに、試験前には有給休暇を活用して集中して勉強するのも一つの方法です。
収入やキャリアへの影響は?
セラピスト資格を取得することで、看護師としてのキャリアにプラスの影響を与える可能性があります。例えば、病院や介護施設でリラクゼーションケアを提供することで患者さんの満足度向上につながり、専門性を活かした働き方ができるようになります。
収入面に関しては、セラピストとして副業を行うことで収入を増やすことが可能です。特に、整体やアロマセラピーを提供する自宅サロンを開業することで、自由な働き方が実現できます。ただし、開業には初期投資や集客の工夫が必要になるため、事前にしっかりと準備をしておくことが重要です。
看護師の資格を活かして働けるセラピストの職場
介護施設でのセラピスト
介護施設では、高齢者の身体機能維持やリラクゼーションを目的とした施術が求められます。看護師がセラピストとして働くことで、医療的な視点を持ちつつ、高齢者の健康維持やQOL向上に貢献できます。
例えば、リフレクソロジーやマッサージを取り入れることで、認知症の進行を緩和したり、血行促進による健康維持が期待できます。また、看護師としての医療知識を活かしながら、安全に施術を提供できるのも強みです。
訪問看護ステーションでの活躍
訪問看護ステーションでは、患者さんの自宅でのケアが求められます。セラピストとしてのスキルを活かすことで、リハビリの一環としてマッサージやアロマセラピーを取り入れることが可能です。
特に、寝たきりの患者さんに対しては、血行促進や関節の可動域を広げるための施術が有効です。また、家族へのケア方法の指導も行うことで、より質の高い在宅ケアを提供できます。
緩和ケア病棟でのアロマセラピー活用
緩和ケア病棟では、痛みや不安を和らげるためのケアが重要です。アロマセラピーを活用することで、患者さんのリラックスを促し、精神的な安定をもたらすことができます。
例えば、ラベンダーやカモミールの精油を使用することで、ストレス軽減や安眠効果が期待できます。看護師としての観察力を活かしながら、患者さん一人ひとりに合った施術を提供できるのが強みです。
産婦人科や女性向けクリニックでの役割
産婦人科や女性向けクリニックでは、妊婦さんや産後の女性に向けたケアが求められます。セラピスト資格を活かして、マタニティマッサージや産後ケアを提供することで、妊娠中の不調の軽減や産後の回復をサポートできます。
また、ホルモンバランスの変化による不調やストレスを和らげるために、アロマセラピーを取り入れることも有効です。看護師としての知識を持つことで、安全かつ効果的な施術を行うことができます。
看護師セラピストの成功事例
病院勤務から独立開業したセラピスト
看護師として病院で働きながらセラピストの資格を取得し、独立開業した成功事例も増えています。特に整体師やリフレクソロジストとして独立し、自宅サロンや出張サービスを提供することで、自分のペースで働くことが可能になります。
独立する際には、集客のためのSNS活用や口コミの構築が重要になります。また、医療従事者としての信頼感を活かすことで、患者さんに安心して施術を受けてもらえる点も強みとなります。
医療とリラクゼーションを融合させた働き方
看護師の資格を持ちながら、リラクゼーション分野で働くケースもあります。例えば、病院やクリニック内でアロマセラピーを提供することで、医療とリラクゼーションを融合させた新しいスタイルのケアが可能になります。
また、整形外科やリハビリテーション施設で、整体やマッサージを提供することで、患者さんの回復をサポートする役割を担うこともできます。
キャリアチェンジで収入アップしたケース
看護師からセラピストへ転身し、収入アップを実現したケースもあります。特に、個人で施術を提供することで、病院勤務よりも自由度が高く、高収入を得ることができる場合があります。
例えば、1回の施術料金を5,000円と設定し、1日5名の患者さんを施術すると、月収75万円以上も可能です。さらに、リピート率を高める工夫をすることで、安定した収入を得ることができます。
おわりに
看護師資格を持つセラピストは、その専門的な知識や経験を活かし、多岐にわたるキャリアパスを選択することができます。医療とセラピーの両方の領域で活躍するためには、適切な資格取得やスキルの継続的な研鑽が不可欠です。是非、自身のキャリアに合ったセラピスト資格を選択し、新たな可能性に挑戦してみてください。
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